天狗塚公園
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3 天狗塚の天狗 民話について
ここ天狗塚には。次のような民話が残っている。
昔、赤泊の村祭りの日に、天狗が空を飛んできて、
『やーやー村の衆。我こそは上州の迦葉山弥勒寺にすむ天狗じゃ。世に
天狗道を広めんがため、諸国を行脚しておるが、佐渡はこの村の山に住む。
弟子にならんと思うものは天狗塚山に来るがよい。』との誘いに参集した者
九人。この大天狗のもと、小天狗になるため、この天狗塚山での厳しい修行
が始まった。
冬には滝に打たれ修行、寒さに震える弟子達に、『遡上する鱒を突き、空飛ぶ
鴨を落とし、駆ける馬を倒し、棒投げ、石投げ、縄投げも、この玄関のみそぎを
修めてこそ。』と叱咤激励する。 また夏には暑くとも火を燃やし、『心頭滅却
すれば日もまた涼し、火を吹き、火を消し、火を食らう、火遁の術の妙技なり。』
と弟子たちはその火炎の中をくぐり抜けていく。
このような厳しい修行により弟子たちは水遁の術等様々な術を身につけていった。
時には空遁の術を使って佐渡一高い金北山へもひとっ飛び。天狗たちが金北山
参りをするたびに止まって休んだ岩を天狗岩といって、今でも金北山の右手に
そびえており、そこには天狗の足跡がたくさん残っているという。
数年かかって弟子たちは、一通りの天狗道を身につけた。大天狗は、
『小天狗たちよ、お主らは見なよう踏ん張って修行した。天狗の術を身につけたから
免状を授ける。世のため人のために技を使えよ。夢々技を鼻にかけるでないぞ。
天狗は芸の行き止まりじゃからな』と免状を授けた。
小天狗『板立』を輩出した徳和の野口家(屋号・板立)には、この天狗の免状、
空飛ぶ時に使った羽、棒杖、木剣などが今も残っているという。
ここ天狗塚から対岸を望むと、今も大天狗、小天狗たちが越後弥彦山・角田山へ
飛翔しているように思える。
平成九年三月 佐渡市